大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 平成11年(行コ)28号 判決 1999年7月30日

控訴人

小林正三

控訴人

小林初子

控訴人

吉田エイ子

控訴人

新開多恵子

控訴人

速水眞佐子

右五名訴訟代理人弁護士

西垣泰三

細川顯

右訴訟代理人西垣泰三復代理人弁護士

湯原裕子

被控訴人

西税務署長 近藤宏一

右指定代理人

比嘉一美

長田義博

新谷修一郎

村松徹哉

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  小林正之(平成四年四月一五日死亡)の相続に係る相続税について、被控訴人が控訴人らにした次の各処分をいずれも取り消す。

(一) 平成六年六月二九日付けでした更正をすべき理由がない旨の各通知処分

(二) 平成六年七月八日付けでした更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(控訴人正三以外のその余の控訴人らに対する過少申告加算税の各賦課決定処分を除く。)

(三) 平成六年一一月二五日付けでした各更正処分

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  答弁

1  主位的答弁

(一) 原判決中、控訴人エイ子、同多恵子及び同眞佐子の本件訴えのうち、被控訴人の平成六年六月二九日付けの右控訴人らに対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び同年一一月二五日付けの右控訴人らに対する更正処分の取消しを求める部分以外の請求に関する部分は、これを取り消し、右取り消しに係る部分の訴えを却下する。

(二) 控訴人らのその余の控訴をいずれも棄却する。

(三) 控訴費用は、控訴人らの負担とする。

2  予備的答弁

主文同旨

第二当事者の主張

当事者の主張は、原判決「事実」の「第二 当事者の主張」欄(五頁一〇行目から二六頁一行目まで)と同じである(ただし、文中「原告」とあるを「控訴人」と、「被告」とあるを「被控訴人」と、「別紙」とあるを「原判決添付別紙」と、「別表」とあるを「原判決添付別表」と各読み替える。)からこれを引用する。

第三証拠

証拠関係は、原審及び当審の各記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。

第四当裁判所の判断

一  当裁判所の判断は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の「理由」欄(二六頁五行目から五一頁一〇行目まで)記載のとおりである(ただし、文中「原告」とあるを「控訴人」と、「被告」とあるを「被控訴人」と、「別表」とあるを「原判決添付別表」と各読み替える。)から、これを引用する。

1  四九頁三行目の末尾に次のとおり付加する。

「控訴人らは本件全土地の評価をするにつき納税者が自ら正しいと考える事実に基づいて申告をなし、右申告が違法であると課税庁が判断した場合のみ更正決定をもって納税者のなした申告を訂正できる、課税庁は納税者がした右評価の違法性を証明できない限り納税者のなした申告の更正はなしえないと主張する。しかし、法二二条の適用については、平等原則の観点から評価基本通達による評価を原則とし、特別の事情がある場合にのみ他の合理的な方法によることができるところ、これまでに認定・説示したとおり、被控訴人主張の路線価方式に基づく本件全土地の評価額は法二二条にいう時価の評価として相当であり(控訴人らが主張する控訴人鑑定は、本項4[四八頁二行目から七行目まで]に述べる理由から採用することはできない。)、また、税務署長が国税通則法二四条の要件に当てはまる場合になす更正決定は、控訴人らがいうところの違法である場合にのみなしうるものではないから、控訴人らの右主張は失当である。」

2  五一頁五行目の末尾に次のとおり付加する。

「控訴人らは、当審においても本件全土地を評価するにつき、借地権割合分を控除すべきであると主張する。しかし、本項で認定・説示した点に、本件土地の客観的賃料額と本件建物の二分の一を目的とする賃貸借における客観的賃料額が均衡しているか否かは不明であること、また、仮に本件土地に借地権が設定されていたならば、その時点で控訴人正三に対し、借地権分の贈与がなされたことになるはずであるが、控訴人正三は当該年度の所得申告において右借地権の贈与を受けたことを申告していないこと(弁論の全趣旨)を併せ考えると、控訴人らの右主張は到底採用できない。」

二  結論

以上のとおり、控訴人らの主張は理由がないから本件控訴を棄却することとし、控訴費用の負担につき行訴法七条、民訴法六七条、六一条、六五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 中田耕三 裁判官 高橋文仲 裁判官 辻本利雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例